スカーレットの悪女
「うほほ、壱華そっくり」

「変な笑い方すんなよ気持ち悪いな」



絆を可愛がるのはいいが、聞いた事のないような気色悪い笑い声でギョッとした。


嫌悪感を表荷出しだが実莉は気にせず絆の小さな手に指を掴ませたりして戯れている。



「ふたりの子なら絶対かわいいと思ったけど、まさかこんなに愛らしくてかわいい子が生まれるなんて。生きててよかったレベルにかわいい」



うざったいことに変わりは無いが独特な表現に懐かしさを感じる。


なんだよ生きててよかったレベルって。こいつ大阪に行ってからさらに思ってること全部口に出すようになったな。


「壱華も大変だったでしょう。自分のことはちゃんと労わって、体が回復するまでは志勇に家事育児押し付けてね」

「おい、お前もこっちにいる間は協力しろよ」

「残念だけど今回は2日間しか滞在許されてないの」



しばらく騒がしい生活になるなと思ったが、実莉は明日には帰ってしまうらしい。


そうか、こいつは本当に‘覇王の花嫁”になってしまったわけだから、これまで通り東京と大阪を行き来することは難しいのか。


これから会いに来る頻度はさらに少なくなっていくだろう。



「けど無理言って会いに来てよかった。楽しみにしてたよ絆〜!」

「実莉の子もかわいいだろうね。私も楽しみにしてる」

「当たり前よ、どっちに似ても間違いないわ」



もうすっかり望月の嫁として自覚が芽生えてしまった実莉。


やかましいのがまたひとり増えるのかと思うと憂鬱だが、それでいてこの空間が心地よかった。
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