スカーレットの悪女
「おい、チビガキ。寝るな、お前に聞きたいことがある」

「だから、私はチビガキって名前じゃないんですけど」



横になって、枕元にあったリモコンを手に取った。


リクライニングさせて、背もたれのある楽な体制で座りたかっただけなのに、志勇がチビガキ、なんて呼んで注意を引こうとしてきた。


訂正させようと口を開くと、志勇の隣に立つ颯馬が冷えきった無表情で私を睨みつけていた。



「ははっ、兄貴に楯突くなんて身の程知らずにもほどがある」



静観していた颯馬は、ついに一歩踏み出して至近距離でガンを飛ばしてきた。



「自分の立場分かってる?兄貴の情けで生きてんのになんだよその態度」

「……」

「その気になればお前なんて一瞬で消せるんだよこっちは。
ナメた口利いてると潰すぞクソガキ」



えー、この人こんなキレるキャラだったっけ?


本能的に身震いしてしまうほどの剣幕だけど、後ろでニヤニヤ笑う志勇に腹が立ってそれどころじゃない。


なるほどねぇ、私がこの状況をどうやって切り抜けるのか楽しんでるわけだ。


ほんっと性格悪いな。
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