スカーレットの悪女
「ごめん、悪かったから涼にチクるのだけは勘弁して」



こんなチンケな脅し、通用しないと思ったけど、颯馬は顔の前で両手を合わせて申し訳なさそうに謝ってきた。


あれ、効果てきめんなんだけど。


ちょっと颯馬、ちょろ過ぎない大丈夫？



「ククッ、颯馬に謝らせるとは大したもんだ」

「だって涼ちゃん、怒らせると怖いから」



様子を見ていた志勇は、満足げで屈託のない綺麗な笑みを浮かべた。


そして喉を鳴らすような独特の笑い方をする。


この笑い方、壱華以外で見せなかったはずなのに、私相手でも笑うんだ。


普通に笑うとくっそかっこいな。まずいうっかりすると惚れる。


いや、ヤクザと恋愛とか絶対ないし、志勇は壱華と結ばれなきゃいけないから全力でフラグ回避するけど。
< 88 / 807 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop