保健室登校
翌朝、五十嵐くんはまた保健室にきていた。
今日は立花先生もいたせいか、少しだけバツが悪そうな顔をしている。

「あら、五十嵐くんおはよう」

先生がそう言うと、彼は小さく「……はよっす」と頭を下げていた。

「傷はもういいの? 先生見ようか?」

「……いや、星野さんに見てもらうんで大丈夫です。星野さん、お願いしてもいいっすか?」

――突然自分の名前が出たのでびっくりする。別にいいんだけど、なんで五十嵐くんは先生に見てもらわないんだろう。でも、私が最初に手当てしたし、最後まで責任を持った方がいいのかな。

「わかりました」

彼はもう座っている。私は彼の指先の絆創膏を外す。もう、傷口は塞がっているけどなにかの拍子にまた傷口が開くかもしれない……もう少し、保護だけはした方がいいと思った。

「また、新しい絆創膏を巻いておきますね。……先生、いいですか?」

先生はなぜかニヤニヤしながらこちらを見ている。

「うん、先生もそれでいいと思うわ」

五十嵐くんの指先に絆創膏を巻いていく。白くて細い指先に、桃色の傷口が浮き出して見えた。

「今日も、ありがと」


それから五十嵐くんは、たびたび保健室に来るようになった。

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