やさしい嘘のその先に
(愛想は尽かされたかも……)
美千花はそれを認めるのが物凄く怖いのだ。
現状、夫のことを生理的に受け付けられない癖して、律顕に対して身重な自分を置き去りにしないで?と至極身勝手な甘えを抱いてしまう。
***
蝶子と別れて真っ直ぐ家に帰ろうとした美千花だったけれど。
天気も良いし、幸いつわりの症状も重くない。少しだけ遠回りをしてみようかな?と言う気持ちになった。
何より、こんな不安な思いを抱えたまま家に帰りたくなかったのだ。
(歩きながら気分転換しよ)
フルーツや桃缶など、食べられそうなものを買って帰るのもいいかなと思って。
会社の近くの商店街に小さな八百屋があって、そこのフルーツが新鮮で安価なことを思い出した美千花だ。
(スーパーに行くと人に酔っちゃうし……『やおまさ』でアレコレ買って帰ろ)
『八百屋やおまさ』は「八百屋」と冠しているだけあって、小さな店舗ながら野菜や果物が種類豊富なだけでなく、パンや缶詰やちょっとした調味料など、結構八百万置かれている。
八百屋と聞いて思い浮かべる青果店というイメージより、どちらかと言うと商店に近い感じ。
最近は多くの店でレジ袋が有料になったけれど、美千花の記憶が正しければ『やおまさ』はまだレジ袋も無料のままなはずだ。
美千花はそれを認めるのが物凄く怖いのだ。
現状、夫のことを生理的に受け付けられない癖して、律顕に対して身重な自分を置き去りにしないで?と至極身勝手な甘えを抱いてしまう。
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蝶子と別れて真っ直ぐ家に帰ろうとした美千花だったけれど。
天気も良いし、幸いつわりの症状も重くない。少しだけ遠回りをしてみようかな?と言う気持ちになった。
何より、こんな不安な思いを抱えたまま家に帰りたくなかったのだ。
(歩きながら気分転換しよ)
フルーツや桃缶など、食べられそうなものを買って帰るのもいいかなと思って。
会社の近くの商店街に小さな八百屋があって、そこのフルーツが新鮮で安価なことを思い出した美千花だ。
(スーパーに行くと人に酔っちゃうし……『やおまさ』でアレコレ買って帰ろ)
『八百屋やおまさ』は「八百屋」と冠しているだけあって、小さな店舗ながら野菜や果物が種類豊富なだけでなく、パンや缶詰やちょっとした調味料など、結構八百万置かれている。
八百屋と聞いて思い浮かべる青果店というイメージより、どちらかと言うと商店に近い感じ。
最近は多くの店でレジ袋が有料になったけれど、美千花の記憶が正しければ『やおまさ』はまだレジ袋も無料のままなはずだ。