やさしい嘘のその先に
「先生……わざわざすみません」
胃が差し込むと言っても我慢出来ない程ではないのに、忙しい主治医の手を煩わせてしまった。
そう感じた美千花がしゅんとして謝ったら、「患者が医者に気を遣うものじゃない」と諫められた。
「つわりも落ち着いてきたって話だったのに固形物が喉を通らないのは、そういう遠慮がちで気にしぃな性格のせいかな?」
何故かそこでチラリと律顕の方を見た伊藤から、「今日だってたまたまご主人と一緒だったから良かったようなものの。倒れた時に頭とか打ってたら大事だったよ?」と言われて。
美千花は「え?」とつぶやいて伊藤と律顕を見比べた。
今日律顕は健診にだって一緒に来てはくれなくて、美千花はずっと一人だったはずだ。
処置が済んだらその事について話してもらえる約束になっていて。
なのに――。
「主人が……一緒?」
疑問符満載でポツンとつぶやいたら、「救急車にも付き添っていらしてたでしょう? もしかして倒れる前後の記憶が飛んでる?」と伊藤に心配そうに眉根を寄せられた。
胃が差し込むと言っても我慢出来ない程ではないのに、忙しい主治医の手を煩わせてしまった。
そう感じた美千花がしゅんとして謝ったら、「患者が医者に気を遣うものじゃない」と諫められた。
「つわりも落ち着いてきたって話だったのに固形物が喉を通らないのは、そういう遠慮がちで気にしぃな性格のせいかな?」
何故かそこでチラリと律顕の方を見た伊藤から、「今日だってたまたまご主人と一緒だったから良かったようなものの。倒れた時に頭とか打ってたら大事だったよ?」と言われて。
美千花は「え?」とつぶやいて伊藤と律顕を見比べた。
今日律顕は健診にだって一緒に来てはくれなくて、美千花はずっと一人だったはずだ。
処置が済んだらその事について話してもらえる約束になっていて。
なのに――。
「主人が……一緒?」
疑問符満載でポツンとつぶやいたら、「救急車にも付き添っていらしてたでしょう? もしかして倒れる前後の記憶が飛んでる?」と伊藤に心配そうに眉根を寄せられた。