やさしい嘘のその先に
「頭は打ってないって事だったけど」
そこでカルテと律顕を交互に見つめた伊藤に、「はい、倒れる直前に僕が抱き止めたので」と律顕が返して。
美千花はますます混乱するばかりだ。
確かに倒れる間際、誰かが近付いてくる気配がして。美千花自身も赤ちゃんを守りたい一心で必死に手を伸ばした覚えがあるけれど……もしかしてあれが律顕だったと言うのだろうか?
「とりあえず我慢出来そうにないなら痛み止めも使えるけど」
伊藤の申し出に、美千花はフルフルと首を横に振った。
耐えられない程ではない。
それに、美千花のこれはきっと精神的なものだから。
律顕ともっとちゃんと話して、もしも不安が取り除けたならば、自然に回復していけると思う。
お腹の赤ちゃんの事を考えると、なるべく薬は使いたくない美千花だ。
「分かった。でも、もし耐えられないぐらいしんどくなったら遠慮なく言ってね? いい?」
「はい」
美千花がしっかりと頷くのを確認してから、伊藤らは病室を出て行った。
そこでカルテと律顕を交互に見つめた伊藤に、「はい、倒れる直前に僕が抱き止めたので」と律顕が返して。
美千花はますます混乱するばかりだ。
確かに倒れる間際、誰かが近付いてくる気配がして。美千花自身も赤ちゃんを守りたい一心で必死に手を伸ばした覚えがあるけれど……もしかしてあれが律顕だったと言うのだろうか?
「とりあえず我慢出来そうにないなら痛み止めも使えるけど」
伊藤の申し出に、美千花はフルフルと首を横に振った。
耐えられない程ではない。
それに、美千花のこれはきっと精神的なものだから。
律顕ともっとちゃんと話して、もしも不安が取り除けたならば、自然に回復していけると思う。
お腹の赤ちゃんの事を考えると、なるべく薬は使いたくない美千花だ。
「分かった。でも、もし耐えられないぐらいしんどくなったら遠慮なく言ってね? いい?」
「はい」
美千花がしっかりと頷くのを確認してから、伊藤らは病室を出て行った。