具現術師は今日も行く!
そんなある日、ある町で彼を訪ねて客がやってきた。
「…。」
彼はその客二人の姿を見て思わず呆気に取られる。
一人は伝説の剣を携え、長きマントを翻す東の若き勇者。
そしてもう一人は、漆黒の衣服やマントに身を包んだ、近くの丘からも見えるあの魔王城の主…
「…あの、失礼ですが…東の勇者さんに、あそこに見える城の魔王さんじゃ…」
そう思わず口をついて出てしまった。
「あ、そうですそうです、二人とも『元』ですけど」
爽やかな勇者の返事とともに、「そうそう」と魔王も頷く。
『元』だとしても噂に聞く、相反する二人が一緒になって自分のもとへ。
一体どのような要件でここへやってきたのか…
「突然ですが、店の内装デザインを依頼したくて」
爽やかに要件を告げる勇者の後ろで魔王が呑気に頷く。
「…あの〜、店??」
またもや呆気にとられる彼。
『元』勇者と『元』魔王が、店。
ともに来たのだから、依頼はこの“二人”の店に決まっている。
「店を出すことになったから、使う小物や内装を発注することにしたんだ。自分たちの魔力でできないこともないけど、こちらはデザインの評判がいいって聞いて、ぜひ頼みたいんで」
魔王はそう言い、彼に呑気な笑みで笑い掛けた。
「あ、あはは、ありがとうございます…」
いつもは自然な愛想のさすがの彼でも、あまりのことに完全な愛想笑いになってしまった。
話を聞けば二人は、互いに今までとは別の道を歩むことになり、意気投合。
“店”というのは『元』勇者の店で、画家志望の『元』魔王は学校通いのままその店に住み込みで働くということらしい。
「…。」
彼はその客二人の姿を見て思わず呆気に取られる。
一人は伝説の剣を携え、長きマントを翻す東の若き勇者。
そしてもう一人は、漆黒の衣服やマントに身を包んだ、近くの丘からも見えるあの魔王城の主…
「…あの、失礼ですが…東の勇者さんに、あそこに見える城の魔王さんじゃ…」
そう思わず口をついて出てしまった。
「あ、そうですそうです、二人とも『元』ですけど」
爽やかな勇者の返事とともに、「そうそう」と魔王も頷く。
『元』だとしても噂に聞く、相反する二人が一緒になって自分のもとへ。
一体どのような要件でここへやってきたのか…
「突然ですが、店の内装デザインを依頼したくて」
爽やかに要件を告げる勇者の後ろで魔王が呑気に頷く。
「…あの〜、店??」
またもや呆気にとられる彼。
『元』勇者と『元』魔王が、店。
ともに来たのだから、依頼はこの“二人”の店に決まっている。
「店を出すことになったから、使う小物や内装を発注することにしたんだ。自分たちの魔力でできないこともないけど、こちらはデザインの評判がいいって聞いて、ぜひ頼みたいんで」
魔王はそう言い、彼に呑気な笑みで笑い掛けた。
「あ、あはは、ありがとうございます…」
いつもは自然な愛想のさすがの彼でも、あまりのことに完全な愛想笑いになってしまった。
話を聞けば二人は、互いに今までとは別の道を歩むことになり、意気投合。
“店”というのは『元』勇者の店で、画家志望の『元』魔王は学校通いのままその店に住み込みで働くということらしい。