彼の結婚、私の今後。【短編】
それにしても、
「おめでとう、でもとんだスピード結婚だね」
「ありがとう」
「どんな人なの?」
恋人、もしかしたらこうして知らない間に何人か今までいたのかもしれない。
何回か、間違いを犯しながら。
「職場の女性で、シングルマザー。こどもは女の子で4歳」
「わ、わあお…」
初婚にしてはいきなりハードルの高い結婚である。驚く声がためらいがちになったのは、戸惑いで息がつながらなかったからだ。彼の思い人に、失礼をこいたというのに彼は咎めることなく淡々という。
「こどもの名前がりんちゃんていって、笑顔がまぶしくて、お母さんによく似ている。あぁ、俺が守らないとと思って」
思い人である恋人より先にこどものことを考えているのがよく飲み込めないまま、ふうんと頷いた。
なにか色々話を振られたり話されたりしたが、私は適当に相槌を打って、店内がにぎやかでよかったなどと考えていた。私が店員だったら、耳をダンボにして話の続きを聞いて、仲間内で盛り上がっていたに違いないから。意識を戻したら、彼はまた先ほどの結婚報告と同じような調子で言い切った。
「それでな、今度の日曜日、彼女に会ってほしくて。彼女からのお願いなんだ」
「は?」
「お願いします」
「おめでとう、でもとんだスピード結婚だね」
「ありがとう」
「どんな人なの?」
恋人、もしかしたらこうして知らない間に何人か今までいたのかもしれない。
何回か、間違いを犯しながら。
「職場の女性で、シングルマザー。こどもは女の子で4歳」
「わ、わあお…」
初婚にしてはいきなりハードルの高い結婚である。驚く声がためらいがちになったのは、戸惑いで息がつながらなかったからだ。彼の思い人に、失礼をこいたというのに彼は咎めることなく淡々という。
「こどもの名前がりんちゃんていって、笑顔がまぶしくて、お母さんによく似ている。あぁ、俺が守らないとと思って」
思い人である恋人より先にこどものことを考えているのがよく飲み込めないまま、ふうんと頷いた。
なにか色々話を振られたり話されたりしたが、私は適当に相槌を打って、店内がにぎやかでよかったなどと考えていた。私が店員だったら、耳をダンボにして話の続きを聞いて、仲間内で盛り上がっていたに違いないから。意識を戻したら、彼はまた先ほどの結婚報告と同じような調子で言い切った。
「それでな、今度の日曜日、彼女に会ってほしくて。彼女からのお願いなんだ」
「は?」
「お願いします」