身代わり少女は主人を慕う
「おい、うた?」

将吾様は、私の肩に触れた。

「俺、何か悪い事でも言ったか?」

私は泣きながら、首を横に振った。

「だって、将吾様が。嬉しい事を言ってくれたから。」

「なんだ、そんな事か。そんなに嬉しいなら、何度でも言ってやるぞ。」

私は、将吾様を見つめた。


「うた。俺がうたが、たまらなく愛しいよ。」

「将吾様……」

将吾様の顔が近づいて来て、私の唇と将吾様の唇が重なった。

顔を離すと、真剣な目の将吾様が、私を見つめている。

「うた……」

切なさそうに私を呼んで、その手で抱き寄せてくれた。


「あー、ゴホン。」

将吾様の後ろから、亮成さんの咳払いが聞こえた。

「ここでイチャつくのは、止めて下さい。」

「すまん。」

顔を赤くしている将吾様を見て、私は不謹慎だけど、可愛らしいと思った。
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