身代わり少女は主人を慕う
それから私は、空を見上げる事が多くなった。

はやては、今でも音羽さんを探しているんだろうか。

そして私は?

お相手の方と会う前に、音羽さんが帰って来てくれて、無事この家を出る?

それとも、音羽さんは帰って来ずに、私が四宮君の方々をお相手する?

いづれにしても、そこに将吾様はいない。


将吾様、会いたい。

一目だけでいいから、元気な姿を見たい。


「……さん、うたさん!」

「は、はい!」

目の前には、将吾様ではなく、亮成さんがいる。

「ぼーっとしている暇は、ないですよ。四宮君の方々が参られるのは、今週末なのですから。」

「はい……」

お相手の方々が来ると聞いて、亮成さんは尚一層、厳しくなった。

きっと、奥様と同じ考えなんだろう。
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