身代わり少女は主人を慕う
「はい。それでは。」

そうして私と亮成さんは、挨拶と想定される質問を、ただひたすら繰り返した。



そして、待ちに待った、お相手の四宮君の方々がいらっしゃる日になった。

お見えになったのは、お昼を過ぎた頃だった。

「ご免下さい。」

低い声が、屋敷の中に響いた。

「まあ、四宮君の方々。ようこそ、いらっしゃいました。」

一番最初に迎えたのは、奥様だった。

四宮君のご当主、奥様、そして音羽さんのお相手の方。

3人で、いらっしゃったのだ。


「娘も、楽しみにしていましたのよ。」

奥様の言葉に、胸がドキッとした。

いよいよ、私の出番だ。

息をゴクンと、飲みこむ。

大丈夫。

何度も練習したんだから、やれる。

将吾様だって、できると仰ったんだから。
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