身代わり少女は主人を慕う
そしてまた、一刻程歩いた時だ。

「ちょっと、裏口から入るね。」

その人は、玄関からではなく、家の裏から私を家の中に招き入れた。


「亮成。今、帰ったよ。」

「お帰りなさいませ、坊ちゃ……」

その亮成と言われた人は、私を見るなり、驚いていた。

「お嬢様!帰ってらしたんですね!」

「はい?」

もしかして、私を誰かと勘違いしている?


「亮成、落ち着いて見ろ。」

そして再び、私をじーっと見る亮成さん。

「まさか、お嬢様じゃないんですか?」

「ああ、そうだ。」

すると亮成さんは、またびっくりている。

「驚きました。これ程、お嬢様に似ている方は、いらっしゃいません。」
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