身代わり少女は主人を慕う
「おはよう。そう言う事だから。」

「はい。」

そして私は、奥様と志麻と一緒に、女学校へと向かう。

「歩いている途中でも、久保利の家の事を忘れないように。」

「はい。」

「ないと思うけれども、殿方に声を掛けられても、さらりと交わしていなくなるのよ。あなたにはもう、婚約している方がいっらしゃるのですからね。」


婚約。

もうそこまで、話は進んでいるんだ。


「もし……その婚約者殿が、話しかけてきたのなら……」

「その時にはお話しても結構ですけれど、あまり長話はしないように。下手に仲良くなられたら、本当の音羽が大変な目に遭うわ。」

「は、はい。」

と言っても、誰が婚約者かなんて、私は知らないんですけど。

「それにしても、上手く化けたモノですね。これなら誰も音羽だって、疑わないわ。」
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