身代わり少女は主人を慕う
私が美晴さんの背中をじーっと見ていると、志麻さんが私の肩を掴み、首を横に振った。

「そんなに、人を見るものではありません。」

「はい。」

そして私は、ようやく自分の部屋へと、辿り着いたのだった。


その日の夜も、将吾様や亮成さん、志麻さんに囲まれて、今日あった事を話した。

女学校に、奥様が付いてきた事。

私は、体調不良でお休みになっていた事。

女学校には、音羽さんの友達がいない事。

奥様に、常に久保利の家の事を考えなさいと、睨まれた事。


「そうそう。今日廊下で、宗吾様の奥様?美晴様にお会いしたの。」

「美晴姉さんに?」

将吾様は、へえと言う顔をしていた。

「美晴姉さん。そうなのね。お兄様の奥様だから、姉さん。だから美晴さんと言ったら、聞き返されたんだわ。」
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