星降る夜の奇跡をあなたと
バレンタイン
2月に入り、街はバレンタイン一色。
日頃の感謝を込めて、蓮にあげたいな
と思っていた。お菓子作りなんて
したことなかったし、家族以外に
あげるのも初めて。でもせっかく
ならと、図書館にあったレシピ本を
頼りにガトーショコラを作る事にした。
百均で買った型にラッピング、
何とか形にはなった。
迎えた当日、蓮が学校から帰ってきて
来たら渡そうと思っていたのに、
朝からソワソワしてしまった。
いつも通りに蓮を見送り、私も午後から
図書館へ向かうと、正門に蓮の姿が
見えた。お友達数人と一緒にいたので、
声を掛けずに行こうと思ってると、
その中の女性が、
“今日、バレンタインだから
駅前のカフェにカップルで行って
注文するとバレンタイン限定の
ラテアート書いて貰えるんだって。
みんなでカップルになって行って
みようよ”
と言ってるのが聞こえてしまった。
私は咄嗟に正門から離れ、裏から
回る事にした。明らかにショックを
受けている自分がいる。今の会話だと、
本当のカップルではないのであろう。
それでも、蓮が自分以外の異性と
ラテアート目的だとしても、
バレンタインを過ごすのは嫌だと
感じてしまったのだ。
その日は結局、勉強に身が入らず、
早々に切り上げた。
考えない様にしようと思うと、余計に
考えてしまうもので…あのラテアートに
誘った人は裏を返せば、蓮と出掛ける
事が狙いなのでは?とか。自分が
こんな事を考える日が来るなんて
思ってもいなかった。
悶々としていると“ただいまー”と
蓮が帰ってきた。私が急いで玄関まで
行くと
「そんな慌ててどうしたの?」
「あっえっ!?おかえり。
早かったね」
てっきりカフェに行くものだと思って
いたから思わず言ってしまった。
「いつもと一緒ぐらいだけど?」
「あっ、うん。そうだよね」
「和奏?何かあった?」
「違うんだけど…」
正門で友達と話していた内容を
聞いてしまい、行くのだと
思ったと伝えた。
はじめは濁したくせに、結局は
話してしまった。なんて堪え性のない…
「俺が行った方が良かった?」
そんなわけないっ!!
これだけ何も手につかなかったの
だから。目を見て言う事が恥ずかしく
下を向いた。
「帰ってきてくれて嬉しいです」
「何で急に敬語!?まぁ、和奏が
素直で俺も嬉しいよ」
蓮の顔が若干赤い感じがした。
“もうこうなったなら勢いだ”と、
蓮の腕をひっぱり、キッチンへ
連れていき、私が用意した
チョコを“いつもありがとう”
と言って渡した。
蓮は“えっ!?手作り!?
いつ作ったの!?”と驚いていた
蓮だが、“実は朝から和奏が
落ち着かないの気付いてた。だから
チョコ貰えるって思ってたんだ。
だけど手作りだとは思ってなかったよ”
はっ!?
私ってそんな分かりやすいの!?
あまりの恥ずかしさに、両手で
顔を隠し、項垂れた。
“恥ずかしがらない、恥ずかしがらない”
と頭をポンポンされ、
“俺、嬉しいんだよ?
ありがとう!早速食べよう”
と言ってくれた。
色気も素っ気もない渡し方。
お店で売ってる物に比べたら遥かに
質素。
味だって保証出来ない。
それでも喜んでくれた事が嬉しくて
たまらなかった。
“すっごい美味しい”と言って
食べてくれている蓮の姿を私は
隣に座り見ていた。すると、
“和奏、ほら一口、あーん”
と差し出され、反射的に口を開けたら
甘い味が口に広がった。
“美味しいでしょ?”
一瞬、何が起きたのか理解が
追いつかず、私は無言で首を大きく
縦に振り頷いた。
間接キス…。その事実に顔が
真っ赤になるのを感じた。
そしてもう一つの事実に
気付かざるを得ない、自分がいる。
私は蓮に惹かれてるんだ…
日頃の感謝を込めて、蓮にあげたいな
と思っていた。お菓子作りなんて
したことなかったし、家族以外に
あげるのも初めて。でもせっかく
ならと、図書館にあったレシピ本を
頼りにガトーショコラを作る事にした。
百均で買った型にラッピング、
何とか形にはなった。
迎えた当日、蓮が学校から帰ってきて
来たら渡そうと思っていたのに、
朝からソワソワしてしまった。
いつも通りに蓮を見送り、私も午後から
図書館へ向かうと、正門に蓮の姿が
見えた。お友達数人と一緒にいたので、
声を掛けずに行こうと思ってると、
その中の女性が、
“今日、バレンタインだから
駅前のカフェにカップルで行って
注文するとバレンタイン限定の
ラテアート書いて貰えるんだって。
みんなでカップルになって行って
みようよ”
と言ってるのが聞こえてしまった。
私は咄嗟に正門から離れ、裏から
回る事にした。明らかにショックを
受けている自分がいる。今の会話だと、
本当のカップルではないのであろう。
それでも、蓮が自分以外の異性と
ラテアート目的だとしても、
バレンタインを過ごすのは嫌だと
感じてしまったのだ。
その日は結局、勉強に身が入らず、
早々に切り上げた。
考えない様にしようと思うと、余計に
考えてしまうもので…あのラテアートに
誘った人は裏を返せば、蓮と出掛ける
事が狙いなのでは?とか。自分が
こんな事を考える日が来るなんて
思ってもいなかった。
悶々としていると“ただいまー”と
蓮が帰ってきた。私が急いで玄関まで
行くと
「そんな慌ててどうしたの?」
「あっえっ!?おかえり。
早かったね」
てっきりカフェに行くものだと思って
いたから思わず言ってしまった。
「いつもと一緒ぐらいだけど?」
「あっ、うん。そうだよね」
「和奏?何かあった?」
「違うんだけど…」
正門で友達と話していた内容を
聞いてしまい、行くのだと
思ったと伝えた。
はじめは濁したくせに、結局は
話してしまった。なんて堪え性のない…
「俺が行った方が良かった?」
そんなわけないっ!!
これだけ何も手につかなかったの
だから。目を見て言う事が恥ずかしく
下を向いた。
「帰ってきてくれて嬉しいです」
「何で急に敬語!?まぁ、和奏が
素直で俺も嬉しいよ」
蓮の顔が若干赤い感じがした。
“もうこうなったなら勢いだ”と、
蓮の腕をひっぱり、キッチンへ
連れていき、私が用意した
チョコを“いつもありがとう”
と言って渡した。
蓮は“えっ!?手作り!?
いつ作ったの!?”と驚いていた
蓮だが、“実は朝から和奏が
落ち着かないの気付いてた。だから
チョコ貰えるって思ってたんだ。
だけど手作りだとは思ってなかったよ”
はっ!?
私ってそんな分かりやすいの!?
あまりの恥ずかしさに、両手で
顔を隠し、項垂れた。
“恥ずかしがらない、恥ずかしがらない”
と頭をポンポンされ、
“俺、嬉しいんだよ?
ありがとう!早速食べよう”
と言ってくれた。
色気も素っ気もない渡し方。
お店で売ってる物に比べたら遥かに
質素。
味だって保証出来ない。
それでも喜んでくれた事が嬉しくて
たまらなかった。
“すっごい美味しい”と言って
食べてくれている蓮の姿を私は
隣に座り見ていた。すると、
“和奏、ほら一口、あーん”
と差し出され、反射的に口を開けたら
甘い味が口に広がった。
“美味しいでしょ?”
一瞬、何が起きたのか理解が
追いつかず、私は無言で首を大きく
縦に振り頷いた。
間接キス…。その事実に顔が
真っ赤になるのを感じた。
そしてもう一つの事実に
気付かざるを得ない、自分がいる。
私は蓮に惹かれてるんだ…