星降る夜の奇跡をあなたと
合コンへ行こう!
合コン相手は同じ大学の医学部の人達。
しかも6年生。この時期にこんな事を
してて大丈夫なのか?と人の事を
心配しながらの参加になった。
私達も3人、相手側も3人。
乾杯してからの自己紹介で私は
その中の1人の男の人に釘付けになる。
確かにカッコいい人だ。黒髪に
ハッキリとした目鼻立ち。
確実にモテるであろう。
でも見た目じゃない。声だ。
「遠藤 蓮、医学科6年です」
たったこれだけ。でも私には分かる。
だって毎日聞き続けてきたんだもん。
kanadeは顔出しはしてないし、
動画中は全く話さない。ただ、
曲が始まる前にタイトルだけ、
毎回言っているのだ。
kanadeが目の前に居る?
どうする?声掛ける?
でも周りの友達にkanadeの事を
言ってなかったら?プロフィールだって
公開していないのだ。友達にだって
言っていない可能性が高い。
そんな事を考えている間に自分の番に
なっていたらしく、真希に突っ込まれた。
「和奏!和奏!」
「ぼーっとしてどうしたの?
こんな時までkanadeの事、考えてた?」
するとそれを聞いていた、合コン相手
の1人が
「kanadeって?」
「あっこの子、顔も知らないアーティスト
が大好きで。その人の曲に夢中
なんです。その人の事ばっかりだから
少しは他の事にも目を向ける様に
今日は無理矢理連れてきたの」
「そんなにいーの?俺達より?」
俺達よりって…まぁkanadeに敵うもの
などないのだが、そんなこと言う訳にも
いかず
「はいっ。大好きです。
でもそうじゃなくて!
圧倒されちゃったの。
こういうの初めてのだから」
「まぁまぁ、いーじゃないか。
それに何にしても夢中になれる物が
あるっていい事だから。
それで何ちゃんかな?」
「あっ。安西 和奏です」
遠藤さんが流れを変えてくれた。
“蓮、今日はなんか優しくない!?”
“俺はいつも優しいよ”
“いやいや、いつも女子は特に
寄せ付けないから。でも
和奏ちゃん、どっかで会った事ある
気がするんだけど?”
“そりゃ同じ学校なんだから
会った事もあるんじゃないか”
“そーかな。そういうんじゃない気が
するんだけどなぁ”
なんて会話が繰り広げられていたが、
“夢中になれる物があるっていい事”
そんな風に言ってもらえた事が素直に
嬉しくてあまり耳には入って
こなかった。
それからはその場を楽しみ、結局
kanadeの事には触れずに終わった。
帰る際、何故か遠藤さんが“送るよ”と
声を掛けてくれた。はじめは
近いからと断ったが、結局は
kanade っぽい声に強く言えず、
送って貰うことになる。
帰り道、周りの人混みに
巻き込まれそうになると
そっと手を引いてくれ、そのまま
手を繋いで帰る事になる。
kanade だと思っているからなのか、
私はこの手を振りほどきたくなかった。
それにふたりで歩いてると
初対面なのに何処か安堵感があった。
遠藤さんは、学校の事を話してくれた。
3週間の応用実習が終わったばかり
だけど、今度は合宿があるだとか。
後期には模擬試験もあるだとか、
そんな話をしてるとすぐに
家の前に着く。
「送って頂いてありがとうございました。
今日は楽しかったです」
在り来りの挨拶。こういう事に
慣れていない私はどう言うのが正解か
なんて分からない。
「それなら良かった。ゆっくり休んで」
その時、唇に柔らかい感触。
はっ!?えっ!?キスされた!?
「ほら、部屋に入って。おやすみ」
何事もなかった様に帰ることを
唆され、私は結局、
今のキスの事もkanade の事も
聞けず部屋に戻る事になる。
遠藤さんは私が部屋に入るのを
見届けてくれていた。
初めて会った人と、キスして
しまった…でも全然嫌じゃなかった。
その日はなんだかフワフワした
感覚に包まれながら眠りについた。
それからは遠藤さんに会う事は
なかった。連絡先も交換した訳では
ないし、知ってるといえば名前、学校、
学科。医学科棟に行けばもしかしたら
会えるかもしれないが、向こうは
一応私のアパートを知っている。
それでも接触してこないってことは、
あれはただ単に雰囲気に流された
のだ、こういうものなのだと思い、
私も忘れる事にした。
しかも6年生。この時期にこんな事を
してて大丈夫なのか?と人の事を
心配しながらの参加になった。
私達も3人、相手側も3人。
乾杯してからの自己紹介で私は
その中の1人の男の人に釘付けになる。
確かにカッコいい人だ。黒髪に
ハッキリとした目鼻立ち。
確実にモテるであろう。
でも見た目じゃない。声だ。
「遠藤 蓮、医学科6年です」
たったこれだけ。でも私には分かる。
だって毎日聞き続けてきたんだもん。
kanadeは顔出しはしてないし、
動画中は全く話さない。ただ、
曲が始まる前にタイトルだけ、
毎回言っているのだ。
kanadeが目の前に居る?
どうする?声掛ける?
でも周りの友達にkanadeの事を
言ってなかったら?プロフィールだって
公開していないのだ。友達にだって
言っていない可能性が高い。
そんな事を考えている間に自分の番に
なっていたらしく、真希に突っ込まれた。
「和奏!和奏!」
「ぼーっとしてどうしたの?
こんな時までkanadeの事、考えてた?」
するとそれを聞いていた、合コン相手
の1人が
「kanadeって?」
「あっこの子、顔も知らないアーティスト
が大好きで。その人の曲に夢中
なんです。その人の事ばっかりだから
少しは他の事にも目を向ける様に
今日は無理矢理連れてきたの」
「そんなにいーの?俺達より?」
俺達よりって…まぁkanadeに敵うもの
などないのだが、そんなこと言う訳にも
いかず
「はいっ。大好きです。
でもそうじゃなくて!
圧倒されちゃったの。
こういうの初めてのだから」
「まぁまぁ、いーじゃないか。
それに何にしても夢中になれる物が
あるっていい事だから。
それで何ちゃんかな?」
「あっ。安西 和奏です」
遠藤さんが流れを変えてくれた。
“蓮、今日はなんか優しくない!?”
“俺はいつも優しいよ”
“いやいや、いつも女子は特に
寄せ付けないから。でも
和奏ちゃん、どっかで会った事ある
気がするんだけど?”
“そりゃ同じ学校なんだから
会った事もあるんじゃないか”
“そーかな。そういうんじゃない気が
するんだけどなぁ”
なんて会話が繰り広げられていたが、
“夢中になれる物があるっていい事”
そんな風に言ってもらえた事が素直に
嬉しくてあまり耳には入って
こなかった。
それからはその場を楽しみ、結局
kanadeの事には触れずに終わった。
帰る際、何故か遠藤さんが“送るよ”と
声を掛けてくれた。はじめは
近いからと断ったが、結局は
kanade っぽい声に強く言えず、
送って貰うことになる。
帰り道、周りの人混みに
巻き込まれそうになると
そっと手を引いてくれ、そのまま
手を繋いで帰る事になる。
kanade だと思っているからなのか、
私はこの手を振りほどきたくなかった。
それにふたりで歩いてると
初対面なのに何処か安堵感があった。
遠藤さんは、学校の事を話してくれた。
3週間の応用実習が終わったばかり
だけど、今度は合宿があるだとか。
後期には模擬試験もあるだとか、
そんな話をしてるとすぐに
家の前に着く。
「送って頂いてありがとうございました。
今日は楽しかったです」
在り来りの挨拶。こういう事に
慣れていない私はどう言うのが正解か
なんて分からない。
「それなら良かった。ゆっくり休んで」
その時、唇に柔らかい感触。
はっ!?えっ!?キスされた!?
「ほら、部屋に入って。おやすみ」
何事もなかった様に帰ることを
唆され、私は結局、
今のキスの事もkanade の事も
聞けず部屋に戻る事になる。
遠藤さんは私が部屋に入るのを
見届けてくれていた。
初めて会った人と、キスして
しまった…でも全然嫌じゃなかった。
その日はなんだかフワフワした
感覚に包まれながら眠りについた。
それからは遠藤さんに会う事は
なかった。連絡先も交換した訳では
ないし、知ってるといえば名前、学校、
学科。医学科棟に行けばもしかしたら
会えるかもしれないが、向こうは
一応私のアパートを知っている。
それでも接触してこないってことは、
あれはただ単に雰囲気に流された
のだ、こういうものなのだと思い、
私も忘れる事にした。