拗らせLOVERS
「陽和、風邪どう?」

学校帰りの碧斗が心配そうに部屋に入ってきた


「あ、碧斗!」

私は驚いて毛布を頭から被った


「熱、まだあるの?」


「も、もう下がった」

私は毛布の中から答えた


「そっか、良かった」

碧斗がホッとため息をついた


「し、心配してくれたんだ」

嬉しさの余り、つい口からこぼれる


「まあ…」



まあ?

まあって何!!


「あ、先生から宿題を預かってきた」


何だ

先生に頼まれたから来ただけじゃん!


「机の上に置いといて!」

私はまたもや毛布の中から叫ぶ


「なあ…顔見せろよ」


え?!


「む、無理!」


「何でだよ!人がわざわざ見舞いに来てやったのに」

碧斗が無理やり毛布を引っ張った


「無理! 無理! 無理!!」


こんな泣きはらした顔、見られてたまるか!


「見せろ!!」

 
「きゃあああ!!」


碧斗が力いっぱい毛布を引っ張ったので、
毛布ごとベッドから転げ落ちた

「いたたた…」

「わあ!ごめん!大丈夫か?」

碧斗が私を抱き起こそうとしてかがみ込んだ


ち、近い!


目の前に碧斗の顔が!


「お前…ブサイク」


はあ?!

一瞬、碧斗を睨んだがハッと気づいた


や、やばっ!!
目、腫れてるんだった!!


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