拗らせLOVERS
午後の決勝は、私達の応援虚しく35点差で完敗だった


帰り道、碧斗は心なしか元気がなく口数も少なかった


負けず嫌いの碧斗だから、よっぽど悔しかったんだろうな


私はチラリと隣を歩く碧斗を見た

「3年の先輩達、全員元バスケ部でおまけに中学の時、県大会優勝しているメンバーだもん負けても仕方ないよね」


「補欠だけどな」

そうなんだ

「でも、碧斗達良く頑張ったよ!」

「試合5分で退場した奴に言われたくない」


「……」

なんなの!
めっちゃ、機嫌悪いし!

こんな事なら送ってもらわない方が良かったよ!



「月島先輩のタオル、同じのどこで売ってるかな」
私はポツリと呟いた



「スポーツ用品店に売ってる」

「え?本当?明日土曜日だし行ってこようかな」



「俺も行く」


「え?碧斗、明日部活でしょ?」


「午前中で終わるから、午後行こう」


「いいの?」


「俺も、買いたいものあるし」

ヨシヨシ
機嫌なおってきたぞ!



「じゃあ、明日一緒に行こうね…痛っ」

笑うと唇が引っ張られて痛んだ


「まだ、痛いの?」


「うん、笑うとね…」


碧斗の右手が私の左の頬に触れた


え…

親指が傷口の絆創膏の上を上下する


な、何?

何?

碧斗がジッと私の顔を見つめていた


心臓がドキドキとうるさく騒ぎだす

碧斗が触れている頬が熱い


「陽和…」

え?

え!?

も、もしかして
こ、これって


キ、キス???


私はぎゅっと両目をつむった




「傷物になったなあ」


はあ??


碧斗の手がスッと離れた


か、勘違いした!

く、クソ〜!

ドキドキして損した!

そりゃ、そうよね
碧斗があたしにキスする訳がない!


自分のアホさ加減に呆れてしまった


「じゃあ明日、部活終わったら電話すっから」

「え?あ、うん…」

もう、家の前に着いていた

碧斗は軽く手を振ると隣の家の玄関に消えた


な、
なんなの?

いや、あたしのただの勘違いか…


っでも、あんな顔して頬に手を添えられたらさあ!


「あーーーーーっ!」

私は頭をかかえてその場にしゃがみ込んだ

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