夢を叶えた日、一番にきみを想う
「あれ、尚樹?」

勢いよく校舎のドアをあけると、受付に座っていた塾長は驚いたように俺を見る。

「どうしたの? 忘れ物?」
「あのさ、俺」

息を整える間もなく続けた。

「吉川先生が、いい」
「え?」

戸惑う塾長に、俺ははっきりと告げる。

「俺、これからも吉川先生の授業、受けたい」

なぜか。どうしてか。そんなこと分からない。
けれど衝動的にこみあげてきた気持ちを塾長にぶつけた。

「そっか」

塾長はそれ以上何も聞かず、「ちょっと調整してみるね」と答えた。

「でも、期待はしないでね? 吉川先生、本来はこっちの塾の先生じゃないんだ」
「……うん、さっき本人から聞いた」
「そっかそっか。まあ出来るだけ調整してみるよ。また決まったら伝えるね?」

塾長の言葉に頷いて、教室を出る。
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