夢を叶えた日、一番にきみを想う
1週間後の英語の授業の日、ホームルームが長引いたせいで急いで塾へ向かった。
結局、沙帆ちゃんが担当を続けてくれるのか、それとも別の先生が担当することになるのか、塾長からは何も言われなかった。もしこれからも沙帆ちゃんが担当してくれるのであれば教えてくれただろうから、ダメだったのかもしれない。
校舎についたのは授業が始まる3分前だった。
「やっぱりいない、か」
先生たちが休憩時間によく集まっているブースをチラッと見るも、沙帆ちゃんらしき先生はいない。
淡い期待が打ち砕かれ、心の中でため息をつく。
仕方がない。
そもそも、沙帆ちゃんは別の校舎の先生だから。
今日は誰が担当するんだろうな……。
席についてリュックから英語の教科書を引っ張り出すと、投げるように机の上に置いた。
「あら、今日はご機嫌斜めなんだね?」
その声に、俺は慌てて振り向くと、彼女は「お疲れ様」と微笑んだ。
「何? 学校で嫌なことでもあった?」
「いや……」
沙帆ちゃんは、俺の隣に置いてある講師用の椅子に座る。
あれ、もしかして。
今ここに座っているということは。
「……今日の授業、沙帆ちゃん?」
「うん、そうだよ」
返事にわずかに胸が高鳴る。
けれど恥ずかしくて、「そっか」とだけ答える。
「あ、今、『嫌だな』って思った?」
沙帆ちゃんが俺の顔を覗き込む。
「しばらくは私が英語の授業担当することになりそうだから、もし嫌なら」
「え、マジで?」
話の途中だったにも関わらず、沙帆ちゃんの言葉に被せるように聞き返す。
すると沙帆ちゃんは、「えー、そんなにも嫌がられるとは……」とわかりやすく肩を落とした。
「あ、別に、そういうわけでは」
「……本当?」
沙帆ちゃんは俺の言葉を全く信用していないようで、目に疑いの色を浮かべながら俺に尋ねた。
「うん、嘘ではない」
結局俺の口から出たのは、遠回しで曖昧な返事だった。
それでも、嫌ではないということは伝わったのか、沙帆ちゃんは「それならよかった」と微笑んだ。
こうして、暫定的だけれど、俺の英語の先生は沙帆ちゃんに決まった。
結局、沙帆ちゃんが担当を続けてくれるのか、それとも別の先生が担当することになるのか、塾長からは何も言われなかった。もしこれからも沙帆ちゃんが担当してくれるのであれば教えてくれただろうから、ダメだったのかもしれない。
校舎についたのは授業が始まる3分前だった。
「やっぱりいない、か」
先生たちが休憩時間によく集まっているブースをチラッと見るも、沙帆ちゃんらしき先生はいない。
淡い期待が打ち砕かれ、心の中でため息をつく。
仕方がない。
そもそも、沙帆ちゃんは別の校舎の先生だから。
今日は誰が担当するんだろうな……。
席についてリュックから英語の教科書を引っ張り出すと、投げるように机の上に置いた。
「あら、今日はご機嫌斜めなんだね?」
その声に、俺は慌てて振り向くと、彼女は「お疲れ様」と微笑んだ。
「何? 学校で嫌なことでもあった?」
「いや……」
沙帆ちゃんは、俺の隣に置いてある講師用の椅子に座る。
あれ、もしかして。
今ここに座っているということは。
「……今日の授業、沙帆ちゃん?」
「うん、そうだよ」
返事にわずかに胸が高鳴る。
けれど恥ずかしくて、「そっか」とだけ答える。
「あ、今、『嫌だな』って思った?」
沙帆ちゃんが俺の顔を覗き込む。
「しばらくは私が英語の授業担当することになりそうだから、もし嫌なら」
「え、マジで?」
話の途中だったにも関わらず、沙帆ちゃんの言葉に被せるように聞き返す。
すると沙帆ちゃんは、「えー、そんなにも嫌がられるとは……」とわかりやすく肩を落とした。
「あ、別に、そういうわけでは」
「……本当?」
沙帆ちゃんは俺の言葉を全く信用していないようで、目に疑いの色を浮かべながら俺に尋ねた。
「うん、嘘ではない」
結局俺の口から出たのは、遠回しで曖昧な返事だった。
それでも、嫌ではないということは伝わったのか、沙帆ちゃんは「それならよかった」と微笑んだ。
こうして、暫定的だけれど、俺の英語の先生は沙帆ちゃんに決まった。