夢を叶えた日、一番にきみを想う
「なあ、なんか食いに行こうぜ、腹減った」

ホームルームが終わり、先生が教室から出ていくや否や、翔が俺の席までやってきた。

「お前、それ毎日言ってるな」
「育ち盛りなんだよ」

今日は塾もないし、特に予定もない。

「まあ、いいけど」と答えると、「さすが尚樹」と翔は肩を組んできた。

「それにしても、お前また勉強してたのかよ」

翔が机の上に置いていたプリントを手に取る。

「よくやるよなあ」
「偉いだろ」
「んー、まあな」

感心半分、急に勉強を始めた俺を理解できない気持ちが半分、といった感じだ。

「……まあ、尚樹もバカなりに頑張っているんだな」
「お前と大して学力変わらないだろ」
「そうだな」

軽口を叩きながらリュックに荷物を詰め、教室を出る。

家の最寄り駅につき、ホームから少し長めの階段を降りて改札が見えたところで、ポケットに入れていたスマートフォンが震えた。

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