夢を叶えた日、一番にきみを想う
【行く。今終わった。店、どこ?】

用件だけを伝える短いメッセージは、祐樹からだった。
学校を出る前に【翔となんか食いに行くけど、祐樹と佑真も来る?】と尋ねたのだったが、そもそも祐樹たちのクラスは今終わったらしい。
祐樹たちの担任の先生はヒステリックだからな。
きっとクラスの誰かが何か先生の気に食わないことでもやって、「クラスの連帯責任です」とかいって怒られたのだろう。

「祐樹たちも来るって」
「了解」

【わかった。また後で連】

返事を打っていると、ドン、と誰かと肩がぶつかる。
あまりにも勢いよくぶつかったものだから、俺の手からスマートフォンが零れ落ちた。

「すみまー…」
「なんだ、名城かよ」

ぶつかった相手は俺を見ると、鼻で笑った。

「……市川(いちかわ)

中学時代の同級生の、市川。
一瞬にして、わざとぶつかってきたのだろうという考えが頭をかすめた。

「あ、俺のこと覚えてたんだ」
「まあ、残念ながら」
「奇遇だね。俺も残念ながら君のことを覚えていたよ」

中学3年生の時に一緒のクラスだったこいつとは、多分学年で一番仲が悪かった。というより、かなり一方的に嫌われていた。理由はわかっていたけれど。

こいつ、どこの高校通っているんだっけ。確かそれなりに勉強はできた気がする。
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