夢を叶えた日、一番にきみを想う
ゴールデンウィークが終わると、塾では1学期の中間試験に向けて、土日に勉強会が開催されるようになった。

塾長からは「参加は任意だよ」と言われていたけれど、その言い方はとても圧のあるもので、ほぼ強制だと悟った。

ただ、勉強会の存在を知った時から参加するつもりだった。

勉強はしたくない。
それでも今回参加しようと思った1つの理由は、学校の三者面談で、担任に「これ以上成績が下がるようであれば、来年度は進級が難しくなる」と言われ、さすがにそれは俺もご免だったからだ。
そもそも、塾に通うようになったのも、親がこの面談での担任の発言に危機感を抱いたからだった。
塾に通っているにもかかわらず赤点ばかりを取り、ましてや進級が出来なかったらー…親に何を言われるのか考えるだけでも面倒で、進級できないことだけは避けたかった。

祐樹と佑真と一緒に勉強会へ向かう途中、祐樹は「あーあ、嫌だなあ」とため息をつく。

「今回の勉強会、女子は楽しみにしているらしいぜ」
「どうして?」

理由を尋ねると「小竹(こたけ)が参加するから」と佑真は答えた。

「ああ、なるほどな」

小竹とは、沙帆ちゃんと一緒に隣の校舎から手伝いに来ている先生だ。
180cm近くある高い身長に、程よく筋肉が付いた程よいスリムさ、そして何よりも今大人気の俳優に少し似ていることで、女子たちから多大なる人気を誇っていた。
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