夢を叶えた日、一番にきみを想う
その後は、ろくに休憩もとらず、勉強に励んだ。
今日何度目かのチャイムが教室に響き渡ると、あちこちで「終わった~!」と喜びの声があがる。
その声につられるように顔をあげると、明るかった空が、真っ暗になっていた。

「今日はここまで。よく頑張ったね」

沙帆ちゃんがにっこりと笑う。

沙帆ちゃんはふふっと笑うと、「ごはんしっかり食べて、今日はゆっくり休むんだよ」と言って、立ちあがった。

「また明日、英語の授業でね?」
「あ、沙帆ちゃん」

教室を出ていこうとする彼女を呼び止める。
沙帆ちゃんは、キョトンとした様子で俺を見つめる。

「ありがとう。今日、ずっと勉強教えてくれて」

伝えたかったはずなのに、いざ伝え終えると急に恥ずかしさが襲い掛かってきて、俺は逃げるように背を向ける。

「尚樹!」

柔らかで、そして少し高めの声が耳に届く。

ゆっくり振り向くと、沙帆ちゃんと目が合った。

「私も、ありがとう。一緒に勉強出来て、楽しかった。明日の英語の授業も楽しみにしているね?」

沙帆ちゃんはふわりと笑うと、教室から出ていく。

ああ、やっぱり。

その笑顔を見た瞬間、やっぱり強く思ってしまった。

俺は、この人に、傍にいて欲しい。
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