夢を叶えた日、一番にきみを想う
次の日、英語の授業の為に塾へ行くと、校舎へ入ってすぐ、塾長に「ちょうどよかった」と声をかけられた。

「昨日の話、早速吉川先生に聞いてみたよ」
「何て言っていた?」

昨日相談して今日には答えが出るとは想像していなくて、鼓動が速まる。

「良いって」

良い? それって。

「数学も担当してくれるって」
「マジ?」

いつもより大きな声で、そして食い気味に返事をしてしまう。
塾長はそんな俺を見て「よかったね」と笑った。

「吉川先生の勤務時間を増やすことになるんだから、吉川先生にちゃんとお礼言っておくんだよ?」
「わかった。……後、塾長もありがとう」
「どういたしまして。あ、あと」

塾長は、力強く俺の右肩を叩いた。

「尚樹の希望で担当替えしたんだからね? ちゃんと成績伸ばしてね?」
「……それは、頑張る」

そうだ。わがままを聞いてもらったんだから、頑張らないと。
今まではついつい英語に力を入れがちだったけれど、これからは数学も頑張らないと。
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