夢を叶えた日、一番にきみを想う
「なあ」
数学の授業終わり、ノロノロと片づけをする俺の隣で何かを記入していた沙帆ちゃんは顔をあげた。
「どうしたの? わからないところでもあった?」
「いや、それはないんだけど……俺の担当外れたりしないよな?」
「担当? 外れないよ。どうして? 担当替えしてほしいの?」
沙帆ちゃんは首をかしげる。
「いや……他の人からも、沙帆ちゃんが担当希望されているって聞いたから」
「ああ、祐樹くんのこと?」
敢えて名前は出さなかったのに、沙帆ちゃんはあっさりと切り出した。
「断ったよ」
「……どうして?!」
「どうして、って、こう見えても、私、もうかなりの授業数担当しているし……それに」
沙帆ちゃんは苦笑いというか、少し怒り気味というか、少し拗ねた様子というか、幼い子どものようにぷくっと片頬を膨らませた。
「私は、尚樹の担当だよ? 尚樹の担当外してまで祐樹の担当になるわけないじゃん」
「……そっか」
当たり前のように返された答えが、胸に響く。
沙帆ちゃんはきっと、何も特別なことを言ったわけじゃないのだろう。
俺以外にも生徒は担当しているし、きっとその生徒のことも含めて、自分が今担当している生徒以外を担当する、と言う選択肢はなかった、ということだろう。
それでも、そっか、沙帆ちゃんは、俺の担当か。それなら。
「……頑張ろうかな」
「ん? なに?」
「別に」
次の期末試験では、沙帆ちゃんが少しでも笑顔になってくれるように、精一杯頑張ってみようかな。
数学の授業終わり、ノロノロと片づけをする俺の隣で何かを記入していた沙帆ちゃんは顔をあげた。
「どうしたの? わからないところでもあった?」
「いや、それはないんだけど……俺の担当外れたりしないよな?」
「担当? 外れないよ。どうして? 担当替えしてほしいの?」
沙帆ちゃんは首をかしげる。
「いや……他の人からも、沙帆ちゃんが担当希望されているって聞いたから」
「ああ、祐樹くんのこと?」
敢えて名前は出さなかったのに、沙帆ちゃんはあっさりと切り出した。
「断ったよ」
「……どうして?!」
「どうして、って、こう見えても、私、もうかなりの授業数担当しているし……それに」
沙帆ちゃんは苦笑いというか、少し怒り気味というか、少し拗ねた様子というか、幼い子どものようにぷくっと片頬を膨らませた。
「私は、尚樹の担当だよ? 尚樹の担当外してまで祐樹の担当になるわけないじゃん」
「……そっか」
当たり前のように返された答えが、胸に響く。
沙帆ちゃんはきっと、何も特別なことを言ったわけじゃないのだろう。
俺以外にも生徒は担当しているし、きっとその生徒のことも含めて、自分が今担当している生徒以外を担当する、と言う選択肢はなかった、ということだろう。
それでも、そっか、沙帆ちゃんは、俺の担当か。それなら。
「……頑張ろうかな」
「ん? なに?」
「別に」
次の期末試験では、沙帆ちゃんが少しでも笑顔になってくれるように、精一杯頑張ってみようかな。