夢を叶えた日、一番にきみを想う
「やっと終わったな~!!」
「そうだな……」

1か月はあっという間に過ぎ去って、今、全教科の試験が終わった。
解答用紙の回収が終わると同時に、翔はここ一番のハイテンションで俺の席までやってきた。

「元気無さそうだな?」
「……英語があんまりできなかった」

最後の試験は英語だった。
英語は、一番勉強した。
テスト範囲の単語は完璧に覚えたし、苦手だった英作文も塾でかなり特訓してもらって、自信を持って試験に挑めた。
けれど、今回に限って、読解問題でも英作文でも、テスト範囲外の単語が多く出題された。
出された単語は簡単なモノばかりだったから、先生はきっとボーナス問題のつもりだったんだろうけど、俺にとっては苦戦要素にしかならなかった。

どうだろう、赤点は回避できたかな……いや、やばいかも。
やっぱり早く英語の基礎固めをしないと、これから先も同じことで悩みそうな気がする。

「お疲れー、やっと夏休みだな!!」

教室を出ると、解放感で満ち溢れた佑真と祐樹が俺たちを待っていた。

「今からどこ行く? 思いっ切り遊びたいよな」
「やっぱりカラオケか?」
「おお、いいな! 今からだとフリータイムか?」

翔の提案に、祐樹と佑真が「賛成!」と即答する。

「尚樹?」

前を歩いていた祐樹が振り向く。

「どうした? 尚樹も行くだろ?」
「んー、どうしよっかな」

遊びたい気持ちもある。けれど、テストの出来があまりよくなかったからか、今遊んでも心から楽しめる気がしなかった。

「俺、今日は帰ろうかな」
「え、マジ?」

残りの2人が一斉に俺を見る。
今まで誘いをほとんど断ったことが無かったからか、2人は怪訝そうな顔をした。

「なんでだよ、行こうぜ、せっかくテスト終わったんだから」
「テスト期間中、追い込みでほとんど寝てないんだよ。マジで眠い」

これも事実だった。テストが始まった日から、毎日4時間ぐらいしか寝ていなかったせいか、今にも倒れそうなぐらい眠たかった。

「じゃあカラオケで寝れば?」
「うるさくて寝れねーだろ」

翔の提案を一瞬で断る。

「お前らどうせ夜まで遊ぶんだろ? 昼寝して元気になったら行くわ」
「確かに尚樹、ここのところずっと遅くまで勉強してたもんな。起きたら連絡しろよ、居場所教えるから」

祐樹は年下の弟をあやすかのように、俺の頭をクシャクシャと撫でた。
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