夢を叶えた日、一番にきみを想う
「どうしたの……!」
ドアをあけると、ちょうど玄関にいた塾長は大きく目を見開いた。
「今日は授業無いよ?」
「……勉強、しようかなって」
「期末試験、終わったでしょ?」
「うん」
「それなのに、勉強しに来たの?」
塾長は不思議そうに俺を見た。
そりゃそうだろうな。
試験が終わった日に塾へ来て勉強する人はきっと受験生ぐらいだろうから。
「……自習室、使っていい?」
「……もちろんいいけど」
塾長は頷いた後、「ちょっと待ってね」と付け加えると、面談室の中に入る。
かすかに声が聞こえたけれど、誰かいるのだろうか。
「尚樹、こっち」
塾長に手招きされ、面談室へと向かう。
部屋の前にたどり着くと、塾長は
「今日たまたま出勤してくれていたの。良かったね」
とだけ言い残し、元居た場所へ戻っていく。
ぼんやりと背中を見つめていると、部屋の中から「尚樹?」と呼びかけられた。
「えっ……」
面談室の中を覗くと、パソコンの前に座る沙帆ちゃんが視界に入った。
今日は出勤日じゃないはずなのに。
「どうしていんの?」
「もうすぐ夏期講習があるでしょ。みんなのの学習計画表作らないといけないから」
「……そうなんだ」
先生ってただ教えるだけが仕事じゃないんだな。
「それより聞きたいのは私だよ。尚樹だって今日は授業無い日だよ? どうして来たの?」
「それは……」
英語の試験の出来が悪かったから。
けれど、試験前、俺専用の対策プリントを作ってくれた彼女には言いづらかった。
「……尚樹?」
黙り込んだ俺を、沙帆ちゃんは不思議そうに見る。
「何かあった……?」
俺を見る目は心配で満ちていて、正直に言うしかなかった。
「英語の試験、あまり出来なくて」
「そっか。試験、今日までだったよね?」
「……うん」
「どうして“出来なかった”と思ったの?」
「試験範囲外の単語がいっぱい出た。試験範囲の単語しか覚えていなかったから、全然わからなかった。俺、中学で習った単語とか、全然覚えていないから……」
「それは仕方がないね」
落ち込む俺とは反対に、沙帆ちゃんは明るく言い放った。
ドアをあけると、ちょうど玄関にいた塾長は大きく目を見開いた。
「今日は授業無いよ?」
「……勉強、しようかなって」
「期末試験、終わったでしょ?」
「うん」
「それなのに、勉強しに来たの?」
塾長は不思議そうに俺を見た。
そりゃそうだろうな。
試験が終わった日に塾へ来て勉強する人はきっと受験生ぐらいだろうから。
「……自習室、使っていい?」
「……もちろんいいけど」
塾長は頷いた後、「ちょっと待ってね」と付け加えると、面談室の中に入る。
かすかに声が聞こえたけれど、誰かいるのだろうか。
「尚樹、こっち」
塾長に手招きされ、面談室へと向かう。
部屋の前にたどり着くと、塾長は
「今日たまたま出勤してくれていたの。良かったね」
とだけ言い残し、元居た場所へ戻っていく。
ぼんやりと背中を見つめていると、部屋の中から「尚樹?」と呼びかけられた。
「えっ……」
面談室の中を覗くと、パソコンの前に座る沙帆ちゃんが視界に入った。
今日は出勤日じゃないはずなのに。
「どうしていんの?」
「もうすぐ夏期講習があるでしょ。みんなのの学習計画表作らないといけないから」
「……そうなんだ」
先生ってただ教えるだけが仕事じゃないんだな。
「それより聞きたいのは私だよ。尚樹だって今日は授業無い日だよ? どうして来たの?」
「それは……」
英語の試験の出来が悪かったから。
けれど、試験前、俺専用の対策プリントを作ってくれた彼女には言いづらかった。
「……尚樹?」
黙り込んだ俺を、沙帆ちゃんは不思議そうに見る。
「何かあった……?」
俺を見る目は心配で満ちていて、正直に言うしかなかった。
「英語の試験、あまり出来なくて」
「そっか。試験、今日までだったよね?」
「……うん」
「どうして“出来なかった”と思ったの?」
「試験範囲外の単語がいっぱい出た。試験範囲の単語しか覚えていなかったから、全然わからなかった。俺、中学で習った単語とか、全然覚えていないから……」
「それは仕方がないね」
落ち込む俺とは反対に、沙帆ちゃんは明るく言い放った。