夢を叶えた日、一番にきみを想う
終業式を明日に控えた日の夜、“1学期のお疲れ様会”として、翔と佑真、祐樹、そして茉奈と実優の6人で焼き肉を食べに行った。

「じゃあ、1学期も頑張ったということで。乾杯!」

お店を予約してくれた翔の言葉に応えるようにグラスを皆が掲げる。
ちょうど良いタイミングで注文した肉やビビンバも運ばれてきて、空腹だった俺たちは競うように食べながらいつものようにくだらない話で笑い合った。

「あー、けど、こうやってみんなとクラスメイトとしてお疲れ様会出来るのも、今年で最後かなあ」

翔があまりにも悲しそうに言うから、思わず箸を止める。

「どうして?」
「いやあ、俺、今回もほとんど赤点だったからさ。この前の三者面談で、担任に『留年覚悟しろ』って言われたんだよなあ」
「ああ……」

平均点を下げることにかなり貢献している翔は、俺と同じで留年の危機と戦っている。

「今までまともに勉強してこなかったからさー、今更勉強しろとか言われても、やり方すらわかんねーし」
「それを言えば、今回尚樹はかなり上がったよな」
「……まあ、そうだな」

悲しんでいる翔の前で、佑真が何とも空気の読めない発言をする。

「結局赤点あったんだっけ?」
「いや、今回は無かった」

そう。最も赤点という現実味を帯びていた英語は、ギリギリだけれど赤点を免れていた。

「俺も赤点ばっかりだったしさ。翔、仲良く留年しようぜ」
「そうだな……お前がいてくれるなら……って、ならねーよ!」

翔が佑真の頭を叩く。

「それはそうと」

叩かれた頭を抑えながら、佑真が俺を見た。

「今日、尚樹は絶対塾に行くと思ってた」
「は? なんでだよ?」

今日は授業が無い曜日だ。そんなこと佑真もよくわかっているはずなのに。
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