夢を叶えた日、一番にきみを想う
「一級建築士になったら、私の家、建ててよ」
「……はい?」
「家、建ててほしい。そんな素敵な家に住めたら、絶対幸せだもん!!」

一級建築士になれるかどうかは分からないのに。
そもそも一級建築士になれたとしても、先生が思い描く家を建てられるかどうかは分からないのに。

それなのに、どうしてこの人は、こんなにも無邪気に、出会ったばかりの俺に願いを託せるのだろう。

「……本気で言っていますか?」
「うん」
「……何年かかるかわからないですよ?」
「いいよ、お金をためて待っておくから」

就職したらバリバリ働かないと、と先生はケラケラ笑う。

その軽快な笑い声が、少しだけ気持ちを昂らせる。

「……それなら、まあ、頑張ってみます」
「やった!! 私が尚樹くんのお客さん一号だね?」

先生は、パアッと明るく笑う。

何がそんなに楽しいのか、嬉しいのか、全く分からない。

少し呆れながらも、先生との空間は、居心地が悪いものではなかった。
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