夢を叶えた日、一番にきみを想う
その後は結局授業が終わるまで、俺たちは面談室に閉じこもって、大学や一級建築士について一緒に調べた。
「……今日は、ありがとうございました」
自分の夢についてここまで真剣に考えてみたことも、
自分の夢についてここまで親身になって考えてくれる人に出会ったことも、間違いなく初めてだった。
先生に頭を下げると、「いーえ」と先生は微笑む。
「私ね、本当はこの校舎の担当じゃないの」
先生が足りていないから急遽応援で駆け付けたんだ、と付け加えられる。
「また尚樹くんの授業担当出来るかわからないけど……家建ててもらう約束、忘れないからね?」
そうだったのか。
だから、今まで見たことが無かったのか。
「……いつもは、もう一つの校舎で授業しているんですか?」
俺が通っている個別指導塾は、隣の駅にもう一つ校舎がある。
この校舎の担当じゃないということは、きっと別の校舎で教えているんだろう。
念のため確かめてみると、先生は「そう」と頷いた。
「もうこっちの校舎には来る予定無いんですか」
「どうだろう。こっちの校舎の先生の勤務状況とか採用状況によるのかな? 今、講師不足みたい」
そこまで言うと、先生は「よければ遊びに来てよ」と柔らかく微笑む。
「授業は出来ないけれど、わからないところを教えたり進路相談には乗れるから。いつでもきてね」
「……ありがとうございます」
出会って一時間半。
出会って一時間半で、嫌いな塾でも、この人がいるならわざわざ行ってみてもいいかな、と思わせてしまうこの人は、何者なんだろう。
「……今日は、ありがとうございました」
自分の夢についてここまで真剣に考えてみたことも、
自分の夢についてここまで親身になって考えてくれる人に出会ったことも、間違いなく初めてだった。
先生に頭を下げると、「いーえ」と先生は微笑む。
「私ね、本当はこの校舎の担当じゃないの」
先生が足りていないから急遽応援で駆け付けたんだ、と付け加えられる。
「また尚樹くんの授業担当出来るかわからないけど……家建ててもらう約束、忘れないからね?」
そうだったのか。
だから、今まで見たことが無かったのか。
「……いつもは、もう一つの校舎で授業しているんですか?」
俺が通っている個別指導塾は、隣の駅にもう一つ校舎がある。
この校舎の担当じゃないということは、きっと別の校舎で教えているんだろう。
念のため確かめてみると、先生は「そう」と頷いた。
「もうこっちの校舎には来る予定無いんですか」
「どうだろう。こっちの校舎の先生の勤務状況とか採用状況によるのかな? 今、講師不足みたい」
そこまで言うと、先生は「よければ遊びに来てよ」と柔らかく微笑む。
「授業は出来ないけれど、わからないところを教えたり進路相談には乗れるから。いつでもきてね」
「……ありがとうございます」
出会って一時間半。
出会って一時間半で、嫌いな塾でも、この人がいるならわざわざ行ってみてもいいかな、と思わせてしまうこの人は、何者なんだろう。