たぶんあなたの子です? 認知して下さい!
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しかも賢斗には奥さんがいる。
そのはずだった⋯⋯ 。
だから、こんな事になっているのに?
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妻がいるって聞いた。
でも奥さんなんていないんだって。
ずっとひどいだけの男だと思っていた。
賢斗は無責任な最低な人だと。
妻がいて、不倫して、逃げて。
とにかく賢斗を捕まえて父親だと認知させようと彼女は勢い込んでいた。
私生児なんてあんまりだ。
それに当然責任は感じてもらい、慰謝料ももらって、最低限のけじめをつけさせようと、ただそれだけを考えていた。
身に覚えがなければ、ここに赤ちゃんはいないのだから。
切羽詰まっていたのだ。
彼女は賢次の胸やらお腹をぽんぽんと軽くた叩いた。
赤ちゃん⋯⋯ 。
お父さん、奥さんいないって。
手に触るのは、確かに生きている存在。
賢斗に妻はいない。
愛する女性にふられたから、行方不明。
じゃ、愛する女性って誰のこと?
「賢斗さんは本当に、ホント〜に! 結婚してないの⁈ 」
「今も過去も一度もない」
と、秀斗にはっきり言い切られた。
それなら、愛する人って⋯⋯ 。
半年以上前なら。
「それって⋯⋯ まさか両思い⋯⋯ 」
と彼女は呟いた。
だって、妻がいるから別れたのだ。
妊娠するほど愛し合っていたのに、わざわざ別れたのだ。
秀斗に妻がいないのなら、何の問題もなかったんじゃない。
両思いだ。解決よ。
何だか希望を感じて安堵感が胸に広がる⋯⋯ 。