*夜桜の約束* ―春―
「凪徒、こうしていても時間が過ぎるだけだ。繁華街も閉まっちまったら意味がない。ほら行くぞ」
「暮……」
そうして手中の鍵を奪い取った暮は、運転席に手を掛けて目配せをした。
「皆、聞いてくれ! タイムリミットは二十四時。それまでに全員戻ってくること! 必要な資料は秀成がメールで提供するから、携帯で確認するように! 戻った時点でおれにもメールか電話くれ! じゃ、雨降ってるからくれぐれも事故に気を付けて宜しく!!」
暮は全員に聞こえるよう大声で叫んで乗り込んでしまった。
既に編成は組まれていたのだろう、途端数台の車に分かれて乗り込む団員達。呆然とその様子を眺めていた凪徒は、後部座席に乗り込む夫人に手招きをされ、慌てて助手席に滑り込んだ。
「行くぞー凪徒。モモは『おれ達』で見つけるんだ」
暮はアクセルをふかして勢い良く発進した。
微かに放心しながらも頷いて、フロントガラスを打つように降り続ける雨を見る。
凪徒は思っていた──そして高岡邸の窓から外を望むモモも。
──ああ……桜、散っちゃうな──。
「暮……」
そうして手中の鍵を奪い取った暮は、運転席に手を掛けて目配せをした。
「皆、聞いてくれ! タイムリミットは二十四時。それまでに全員戻ってくること! 必要な資料は秀成がメールで提供するから、携帯で確認するように! 戻った時点でおれにもメールか電話くれ! じゃ、雨降ってるからくれぐれも事故に気を付けて宜しく!!」
暮は全員に聞こえるよう大声で叫んで乗り込んでしまった。
既に編成は組まれていたのだろう、途端数台の車に分かれて乗り込む団員達。呆然とその様子を眺めていた凪徒は、後部座席に乗り込む夫人に手招きをされ、慌てて助手席に滑り込んだ。
「行くぞー凪徒。モモは『おれ達』で見つけるんだ」
暮はアクセルをふかして勢い良く発進した。
微かに放心しながらも頷いて、フロントガラスを打つように降り続ける雨を見る。
凪徒は思っていた──そして高岡邸の窓から外を望むモモも。
──ああ……桜、散っちゃうな──。