*夜桜の約束* ―春―
「凪徒さん? 僕です。すみません、遅くなっちゃって……ついに分かりました! 隣の由倉市、結上町の高岡プランニングです!! 高岡社長が関与しているとすれば、時間も時間ですし、会社から五キロほど先の社長宅へ向かった方がいいと思います」
「由倉市、高岡……秀成、ビンゴだっ! 良くやった!!」
「え……? あれ、もしかして先に辿り着いちゃってました?」
「半分ほどな、でもこれで確証を得たんだ。お前の手柄だよ! 悪いが片瀬駅からの最短ルートを割り出して送ってくれ」
残念ながら凪徒の借りた営業車にはナビがない。
秀成は嬉しそうに「了解しました」と電話を切り、暮はグループ毎に連絡をして、全員に由倉市へ向かうよう伝えた。
「さて……これからだ、凪徒。高岡社長からモモの居所を聞き出せるのか否か……」
「吐ける物は全部吐かせてやるよ……」
──怖っ!!
久し振りに見せる死神のような吊り目に慄く。
駆け出す凪徒を慌てて追いかけた暮は、それでも半分喜んでいた。
団員全員が本気でモモを心配していること。
きっとこれが団長の真の狙いだ。
そしてそれがモモに伝わりさえすれば──。
サーカスはやっと一つにまとまるのかもしれない。
モモにとっても居心地の良い、気兼ねなど要らない温かな『我が家』へと!
☆ ☆ ☆
「由倉市、高岡……秀成、ビンゴだっ! 良くやった!!」
「え……? あれ、もしかして先に辿り着いちゃってました?」
「半分ほどな、でもこれで確証を得たんだ。お前の手柄だよ! 悪いが片瀬駅からの最短ルートを割り出して送ってくれ」
残念ながら凪徒の借りた営業車にはナビがない。
秀成は嬉しそうに「了解しました」と電話を切り、暮はグループ毎に連絡をして、全員に由倉市へ向かうよう伝えた。
「さて……これからだ、凪徒。高岡社長からモモの居所を聞き出せるのか否か……」
「吐ける物は全部吐かせてやるよ……」
──怖っ!!
久し振りに見せる死神のような吊り目に慄く。
駆け出す凪徒を慌てて追いかけた暮は、それでも半分喜んでいた。
団員全員が本気でモモを心配していること。
きっとこれが団長の真の狙いだ。
そしてそれがモモに伝わりさえすれば──。
サーカスはやっと一つにまとまるのかもしれない。
モモにとっても居心地の良い、気兼ねなど要らない温かな『我が家』へと!
☆ ☆ ☆