*夜桜の約束* ―春―
[34]覚醒と限り
ボディガードの運転で滑らかに走り出した車内では、しばらくすすり泣きの声が止まらなかった。
震えるモモの小さな肩を、大きな温かな掌が強く優しく包み込む。
「ありがとう、明日葉。お陰で二人も元気を取り戻したよ。近い内に三人で君の公演を見に行くからね」
そんな嬉しい言葉を掛けられたら尚更涙が止まらない。
差し出された紳士のハンカチはもうびしょ濡れだ。
それでも泣き顔は晴れ晴れとして、喜びに満ちた笑顔が次第に現れ始めた。
「すみません、お父様……あたし、何だか感極まってしまって」
「いいんだよ。そうやって自分の感情を見せることは、君の年齢なら当たり前のことだ。内に閉じ込めることはない」
「あ……っ!」
思わず驚きの声が飛び出してしまう。
『内に閉じ込めることはない』──暮も語った言葉。
震えるモモの小さな肩を、大きな温かな掌が強く優しく包み込む。
「ありがとう、明日葉。お陰で二人も元気を取り戻したよ。近い内に三人で君の公演を見に行くからね」
そんな嬉しい言葉を掛けられたら尚更涙が止まらない。
差し出された紳士のハンカチはもうびしょ濡れだ。
それでも泣き顔は晴れ晴れとして、喜びに満ちた笑顔が次第に現れ始めた。
「すみません、お父様……あたし、何だか感極まってしまって」
「いいんだよ。そうやって自分の感情を見せることは、君の年齢なら当たり前のことだ。内に閉じ込めることはない」
「あ……っ!」
思わず驚きの声が飛び出してしまう。
『内に閉じ込めることはない』──暮も語った言葉。