*夜桜の約束* ―春―
[37]ケーキと想い出
「ではクレ様、まずはこちらをどうぞ」
「え……?」
迫力に気圧されてついて行った中庭には、自分とは真逆と思われる可愛らしい趣味のテーブルに椅子が数脚、そこへ座らされて数分独りにされたが、やがて先程の女性が大きなデコレーションケーキを目の前に供して微笑んだ。
「いや、だから食べてる時間はな──」
「お召し上がりください。完食されましたらお嬢様の居場所のヒントを差し上げます」
「えぇっ!?」
強い口調で割り込まれた言葉に思わず大声を上げてしまう。
直径二十四センチ、高さは十五センチほどだろうか?
生クリームで装飾された上部には大量の果物が山積みになっている。
これを全部一人で平らげろと言うのか?
「外で待ってるメンバーを呼んでは……」
「もちろんそうされましたら無効となります」
「さいですか……」
しかたなくしょぼくれた顔をケーキへ向け、目の前に置かれたフォークを手に取る。
「え……?」
迫力に気圧されてついて行った中庭には、自分とは真逆と思われる可愛らしい趣味のテーブルに椅子が数脚、そこへ座らされて数分独りにされたが、やがて先程の女性が大きなデコレーションケーキを目の前に供して微笑んだ。
「いや、だから食べてる時間はな──」
「お召し上がりください。完食されましたらお嬢様の居場所のヒントを差し上げます」
「えぇっ!?」
強い口調で割り込まれた言葉に思わず大声を上げてしまう。
直径二十四センチ、高さは十五センチほどだろうか?
生クリームで装飾された上部には大量の果物が山積みになっている。
これを全部一人で平らげろと言うのか?
「外で待ってるメンバーを呼んでは……」
「もちろんそうされましたら無効となります」
「さいですか……」
しかたなくしょぼくれた顔をケーキへ向け、目の前に置かれたフォークを手に取る。