*夜桜の約束* ―春―
「お嬢さん達の事情は分かったんだ。おれがどうにか時間稼ぎしてあげるよ」
「さすがクレ様でございます! どうぞ宜しくお願い致します!!」
桔梗が喜び勇んで暮の両手を握り締める。
再びメロメロに顔を緩ませたピエロはしかし、背後からの苛立った声に舌打ちして振り向いた。
「おっせえよ、暮! 何やってたんだっ!!」
「凪徒~おれの恋路を邪魔してくれるなー」
「恋路って……ミイラ取りがミイラになってんじゃねぇ!」
おそらくは暮のように数人が邸宅の内側に飛び降りて金属板を押し出し、手を掛けられるスペースを作って皆で外側に倒したのだろう。
よっぽど重かったのか、汗だくになった全員が息せき切ってそのにやけ顔を睨みつけた。
「おーこわっ! まぁ待てよ、試練を乗り越えてちゃんと情報は得たんだ。編成組み直すからちょっと集まってくれ。で、えーと、お嬢さん方、モモの居場所は?」
「「はい、クレ様。サウスオーシャンパークでございます」」
団員の足並みがつい立ち止まってしまうくらい、双子の言葉は全く淀みなく重ねられていた。
「……信じていいんだね?」
「「もちろんでございます。ご主人様の想い、わたくし共は既にクレ様に託しました」」
二人の強い瞳の色を感じて、暮も真摯な顔で大きく頷く。
こんな短時間に出来上がった深い絆らしきものを不思議に思いながら、団員達は彼の前に集まった。
「さすがクレ様でございます! どうぞ宜しくお願い致します!!」
桔梗が喜び勇んで暮の両手を握り締める。
再びメロメロに顔を緩ませたピエロはしかし、背後からの苛立った声に舌打ちして振り向いた。
「おっせえよ、暮! 何やってたんだっ!!」
「凪徒~おれの恋路を邪魔してくれるなー」
「恋路って……ミイラ取りがミイラになってんじゃねぇ!」
おそらくは暮のように数人が邸宅の内側に飛び降りて金属板を押し出し、手を掛けられるスペースを作って皆で外側に倒したのだろう。
よっぽど重かったのか、汗だくになった全員が息せき切ってそのにやけ顔を睨みつけた。
「おーこわっ! まぁ待てよ、試練を乗り越えてちゃんと情報は得たんだ。編成組み直すからちょっと集まってくれ。で、えーと、お嬢さん方、モモの居場所は?」
「「はい、クレ様。サウスオーシャンパークでございます」」
団員の足並みがつい立ち止まってしまうくらい、双子の言葉は全く淀みなく重ねられていた。
「……信じていいんだね?」
「「もちろんでございます。ご主人様の想い、わたくし共は既にクレ様に託しました」」
二人の強い瞳の色を感じて、暮も真摯な顔で大きく頷く。
こんな短時間に出来上がった深い絆らしきものを不思議に思いながら、団員達は彼の前に集まった。