*夜桜の約束* ―春―
「ありがとう……大切に使わせてもらうよ。明日葉の写真と……これからは君の写真も入れさせてもらおう。君は……二人から私の病のことを聞いたんだね? ──だから今日まで一緒にいてくれた」
「あ……」
大事そうに両掌でプレゼントを包み込み、一層温かな笑みを向ける高岡。
彼がその事実に気付けたのは、きっとモモの表情にも見えたからに違いない。──花純と桔梗の哀しみを含んだ相手を思い遣る心の色と同じものが。
「すみません……隠していて」
「いいんだよ。いや、こちらこそ心配させてしまった上に、色々と気遣いさせてしまったようだ……申し訳なかったね」
「いえ……でも……そう思ってくださるのなら、どうか長生きしてください! 明日葉さんのためにも、花純さんや桔梗さんのためにもっ!!」
「桃瀬くん……」
涙を溜めたモモの必死な面に、高岡は二の句を継げなくなった。
困ったように目の前のアイスコーヒーに口をつけ、途端咳き込んでしまった。
「おっお父様っ!?」
もしや肺の病が?
と立ち上がり慌てて背中をさするモモに、高岡はむせながらも言葉を継ぐ。
「い、いや……気管に、入っただけだ……」
──その時。
「モモっ!!」
「え?」
ずっと遠くの真正面、自分の名を叫ぶ声がモモの視線を上げさせた──。
「あ……」
大事そうに両掌でプレゼントを包み込み、一層温かな笑みを向ける高岡。
彼がその事実に気付けたのは、きっとモモの表情にも見えたからに違いない。──花純と桔梗の哀しみを含んだ相手を思い遣る心の色と同じものが。
「すみません……隠していて」
「いいんだよ。いや、こちらこそ心配させてしまった上に、色々と気遣いさせてしまったようだ……申し訳なかったね」
「いえ……でも……そう思ってくださるのなら、どうか長生きしてください! 明日葉さんのためにも、花純さんや桔梗さんのためにもっ!!」
「桃瀬くん……」
涙を溜めたモモの必死な面に、高岡は二の句を継げなくなった。
困ったように目の前のアイスコーヒーに口をつけ、途端咳き込んでしまった。
「おっお父様っ!?」
もしや肺の病が?
と立ち上がり慌てて背中をさするモモに、高岡はむせながらも言葉を継ぐ。
「い、いや……気管に、入っただけだ……」
──その時。
「モモっ!!」
「え?」
ずっと遠くの真正面、自分の名を叫ぶ声がモモの視線を上げさせた──。