*夜桜の約束* ―春―
──次の給料までの俺の全財産が……。
がっくり肩を落として再びテントへ向かう。
午前の反省会と午後の打ち合わせを兼ねての昼食会は、時々行なわれる主要メンバーの恒例イベントだ。
「どう? 凪徒くん。モモちゃんの捜索は」
それぞれ持ち寄ったおにぎりやパンをほおばって気付いたことや要望を話し合うが、さすがにこの時のメインはモモの誘拐事件だった。
ステージ上に輪になって、座り込んだ隣の鈴原夫人が複雑な面持ちで問う。
「ちょっとした収穫はあった……でもまだその答えは出てないから、報告出来る状況になったら改めて」
既に午前のショー前に殆どの団員へ昨夜の話は伝わっていた。
あのストーカーが捕まっても対象であったモモの居所を問い質したり、凶器と化したエアガンが見つからないことを警察が不審がらなかったのは、本当にそういう理由かもしれないと皆は納得したようだった。
「ね……これ、モモちゃんの携帯電話なのだけど……」
「え?」
鈴原夫人がジャージのポケットからこっそりと凪徒に差し出す薄桃色の二つ折り携帯。
がっくり肩を落として再びテントへ向かう。
午前の反省会と午後の打ち合わせを兼ねての昼食会は、時々行なわれる主要メンバーの恒例イベントだ。
「どう? 凪徒くん。モモちゃんの捜索は」
それぞれ持ち寄ったおにぎりやパンをほおばって気付いたことや要望を話し合うが、さすがにこの時のメインはモモの誘拐事件だった。
ステージ上に輪になって、座り込んだ隣の鈴原夫人が複雑な面持ちで問う。
「ちょっとした収穫はあった……でもまだその答えは出てないから、報告出来る状況になったら改めて」
既に午前のショー前に殆どの団員へ昨夜の話は伝わっていた。
あのストーカーが捕まっても対象であったモモの居所を問い質したり、凶器と化したエアガンが見つからないことを警察が不審がらなかったのは、本当にそういう理由かもしれないと皆は納得したようだった。
「ね……これ、モモちゃんの携帯電話なのだけど……」
「え?」
鈴原夫人がジャージのポケットからこっそりと凪徒に差し出す薄桃色の二つ折り携帯。