*夜桜の約束* ―春―
──二年前とはいえ、まだガラケーとはな……モモの奴、何を待ち受けにしてるんだろ。
どうせ団員の子供達が隠れて育てていた子猫の写真かなんかだろうと適当にあたりをつけたが、沸々と込み上げてきた好奇心が、携帯を開くことに対する躊躇の二文字を追いやった。
「……? げっ!」
途端踏み潰された蛙のように濁った驚きの声を上げ、慌てて携帯を折り畳む。
──何だ……何であんな写真、待ち受けにしてるんだよっ!
いつぞや海沿いの町で巡業を行なった際、休演日に皆で海岸へ遊びに行った時の凪徒とモモのツーショット。
それも……観客の前でもないというのに、珍しく爽やかな自分の笑顔があった。
それに比べてモモは──。
「変な奴……俺に首絞められて、ムンクの叫びみたいな顔してる自分の写真なんか、普通待ち受けにするか?」
いつになく間抜けな少女の苦悶の表情がおかしくて、思わず声に出していた。
どうせ団員の子供達が隠れて育てていた子猫の写真かなんかだろうと適当にあたりをつけたが、沸々と込み上げてきた好奇心が、携帯を開くことに対する躊躇の二文字を追いやった。
「……? げっ!」
途端踏み潰された蛙のように濁った驚きの声を上げ、慌てて携帯を折り畳む。
──何だ……何であんな写真、待ち受けにしてるんだよっ!
いつぞや海沿いの町で巡業を行なった際、休演日に皆で海岸へ遊びに行った時の凪徒とモモのツーショット。
それも……観客の前でもないというのに、珍しく爽やかな自分の笑顔があった。
それに比べてモモは──。
「変な奴……俺に首絞められて、ムンクの叫びみたいな顔してる自分の写真なんか、普通待ち受けにするか?」
いつになく間抜けな少女の苦悶の表情がおかしくて、思わず声に出していた。