*夜桜の約束* ―春―
──ここでは、必ずお預けをさせられちゃうのね……。
苦笑いをしながらもサーカスでの食卓を思い出す。
公演前や間の食事はいつも戦争のようだ。
『鉄則──早く食べて早く片付ける』
夜の貸切公演がない時や翌日が休演日の夕食は少し落ち着いて食べられるが、早食いが当たり前になっているメンバーにはお腹が満たされればOKという輩が多く、のんびり食べていれば「もう要らないの?」といわんばかりに箸攻撃が襲いかかってくる──特に身丈のある凪徒から。
──ここに先輩がいたら、それはそれで食べられなさそうだ……。
そんなことを思ったら、いつの間にかクスりと笑みが零れた。
「すまなかったね、明日葉。つい感激してしまって……」
やっと落ち着きを取り戻した高岡が、笑いを堪えるモモを見つめていた。
「あ、いえ……では、いただきます」
サーカスのことを思い出していたことに、モモは少し罪悪感を覚えながらトマトの肉詰めを口にした。
その刹那思わず「美味しい!」と叫ぶ。
「良かったね、花純くん・桔梗くん」
高岡の背後に佇む二人がにっこりと微笑む。
苦笑いをしながらもサーカスでの食卓を思い出す。
公演前や間の食事はいつも戦争のようだ。
『鉄則──早く食べて早く片付ける』
夜の貸切公演がない時や翌日が休演日の夕食は少し落ち着いて食べられるが、早食いが当たり前になっているメンバーにはお腹が満たされればOKという輩が多く、のんびり食べていれば「もう要らないの?」といわんばかりに箸攻撃が襲いかかってくる──特に身丈のある凪徒から。
──ここに先輩がいたら、それはそれで食べられなさそうだ……。
そんなことを思ったら、いつの間にかクスりと笑みが零れた。
「すまなかったね、明日葉。つい感激してしまって……」
やっと落ち着きを取り戻した高岡が、笑いを堪えるモモを見つめていた。
「あ、いえ……では、いただきます」
サーカスのことを思い出していたことに、モモは少し罪悪感を覚えながらトマトの肉詰めを口にした。
その刹那思わず「美味しい!」と叫ぶ。
「良かったね、花純くん・桔梗くん」
高岡の背後に佇む二人がにっこりと微笑む。