我が身可愛い大人たち
猫目の女性に甘ったるい声で説明されると、雅巳は反射的にその場に正座し、彼女に土下座した。
「すまない。泥酔していたとはいえ、取り返しのつかないことを……」
「いえいえ、別に。お兄さんとのエッチ、気持ちよかったですし」
あっけらかんと言う彼女に、不覚にも雅巳は救われた。
きっと、こういった関係には慣れている女性なのだ。一度きりの過ちとして、あっさりと処理してくれそうだ。
安堵した雅巳だが、「それでも申し訳なかった」ともう一度頭を下げ、顔を上げた瞬間だった。
「責任取って、彼氏になってくれますか?」
耳を疑うセリフに、雅巳の顔が凍り付く。
「好きになっちゃったんですもん。お兄さんのこと」
上目づかいで雅巳の瞳を覗いた彼女は、小首を傾げる。
雅巳は予想外の展開に頭がついていかず、彼女をまじまじと見つめ返すしかできない。
「私、吉野絵里奈です。お兄さんの名前は?」
絵里奈は尋ねながら、布団の中にもぞもぞ入って雅巳の下半身に触れた。