Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「あなたも出て行きたいなら出て行きなさい」


母はそう吐き捨てた。

違う、私はそういうことを言って欲しいんじゃない。

どうして分かってくれないの…


「お母さんは、それでいいの?」

「…構わない」

「私が出て行ったら一人になっちゃうんだよ?」

「余計な気を回さないで!
言ったでしょ、子供なんて産まなきゃよかったって」


もう駄目だと思った。

母には私の声は届かないのだと。

それに気付いた時、私は飛び出すように家を出ていた。

泣きたい気持ちを必死に抑えながら、ただただ気が済むまで歩いた。

疲れて足を止めた時、自分が財布も携帯も何も持ってきてないことに気付いた。


「…なにやってんの、私」


私はしゃがみこみ、これからどうしようかと頭を抱える。
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