Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

「え？まさかAgain知らない？」

「……えーなにそれ？なんかのグループ？」

「暴走族だよ、暴走族！」


クラスメイトの問いに、菜穂は我に返ると、私と同様に首を傾げた。

菜穂が一瞬見せた複雑な表情が気になったが、クラスメイトが説明し始めたのでそっちに話を傾ける。

クラスメイトはなにも知らない私達にも分かりやすく説明してくれた。

二年前、全国ナンバー１と言われていた東京の圧倒的トップにいた暴走族『Again』は当時、あらゆる暴走族に狙われていた。

でも、あまりの強さにどの暴走族もAgainを潰せなかった。

そこで、関東にいるある全国ナンバー２の暴走族を含めた４組の族がAgainの壊滅を掲げ、連合を組んだ。

その名も『爆風黒煙連合（ばくふうこくえんれんごう）』

それを知ったAgainも、対抗して３組と連合を組んだ。

その名も『東狂最凶連合（とうきょうさいきょうれんごう）』

その後、爆風黒煙連合と東狂最凶連合は、警察にも手に負えないほどの抗争を起こした。

その結果、重症者20名、死者３名という今までにはない被害が出る大抗争になった。


「それは知ってる！ニュースにもなったし、一時期抗争が起こった周辺立ち入り禁止になったから」

「それは、さすがに知ってるんだ」


菜穂の言葉に、目を丸くするクラスメイト。


「詳しくは知らなかったけど、連合の名前ダサくない？」

「うん、ダサい」


そして、私と菜穂のやりとりを聞いた彼女は、呆れながらも話を続ける。


「そんな事はどうでもいいのよ！でね！」


その大抗争は、結局どちらの連合が壊滅したのかは明らかにされてはいなかった。

ただ、その大抗争の元凶であるAgainが姿を消したことから、壊滅したのはAgain率いる東狂最凶連合だと世間では噂されていた。

でも、真実はいまだ謎に包まれている。