Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「…綺月?大丈夫?」


何度も聞かれた大丈夫?に、もう笑って大丈夫だと返せなくなった。


「菜穂」

「ん?」

「…もっと早く大丈夫じゃないって言えてたら良かったな」


そう言った直後、充電切れで携帯が落ちた。

最悪なタイミング…

私は携帯をカバンに仕舞うと、近くの公園のベンチに座った。

凄く疲れていて、目を閉じたらそのまま眠ってしまいそうだった。

このまま深い眠りにつけたら楽なのになとさえ思っていた。

だけど、ゴツゴツした寝心地最悪なベンチで深い眠りになんてつけるはずもなく一時間程度で目が覚めた。

これからどうしようか、またカオルの家に戻るべきなのか。

でも、もう勉強する理由も、私が生きる存在価値も無くなってしまった。

母にとって私はもう死んでもいい存在に成り下がってしまった。
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