Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「ちょっと、カオル!」


慌てて菜穂が止めに入るが、カオルは離そうとはしない。


「だったら頼れよ!」


カオルの声が公園内に響く。


「本当は限界なんだろ?
誰かに助けて欲しいんだろ?」

「…は?」

「ずっと待ってんだろ?美月のこと」


図星だった。

心も身体も限界で、心の中ではお姉ちゃんに助けてと叫んでいた。


「もう早く乗れ」


乗らないと逃がしてくれそうにないと思い、渋々ヘルメットを被るとカオルの後ろに乗る。

ずっとお姉ちゃんはどんな気持ちであの時バイクに乗ったのか知りたかった。

カオルみたいにバイクに乗ってどこへでも行ってみたかった。

カオルはバイクに乗り込むとエンジンをかけた。

近くで聞くとうるさいんだろうなと思っていたが、想像よりも遥かにうるさかった。
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