Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「ちゃんと掴まれ」


そう言われ、私はカオルの腰に手を回ししっかりと掴まる。

カオルは私を乗せているからか、他の車よりも大差ないくらいのスピードで走らせていた。

風が気持ちよくて思わず笑みがこぼれた。

流れゆく景色がどれも新鮮で、思っているよりずっと楽しかった。

暫くすると一度来た溜まり場に着いた。

ここにお姉ちゃんがいる。

そう思うと、なかなか前に進めなかった。


「綺月」


カオルが私の名前を呼ぶ。


「美月が待ってる」


私も本当はずっとお姉ちゃんの帰りを待っていた。

もしかしたら、今私達は同じ気持ちでいるんだろうか。

そう思ったら怖い気持ちが少し和らいだ気がした。

私は意を決してAgainの溜まり場にまた足を踏み入れる。

中に入ると、真っ昼間のようにここは明るかった。

私は、初めて二階に繋がる階段を上る。

途中何度も引き返そうと思ったけど、後ろにいるカオルが早く行けという顔をしてくるので、仕方なく前に進んだ。
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