Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「でも、やっぱり私は綺月のことが大事だから、このままじゃ駄目だって思ったの。
昔の関係に戻りたいとまでは言わないけど、せめてまた話がしたい」


お姉ちゃんの言葉は全て本心だった。

私にもそれはちゃんと伝わっていた。

本心には本心で返さないといけない。

だけど伝えたいことがたくさんありすぎて、何から話せば良いのか上手く言葉がまとまらない。


「綺月、一番伝えたいことを伝えればいい」


カオルが私の気持ちに気付いて、助け舟を出してくれる。

カオルの声が今までに無いくらい優しくて、その言葉がそっと私の背中を押してくれる。

私は覚悟を決めて振り向くと、お姉ちゃんの顔を目を逸らさずに見る。


「私は、お姉ちゃんが幸せでいてくれるなら自分のことはどうでも良かった」
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