Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
"大丈夫、まだ頑張れる"
使い古されてボロボロになったその言葉を、何度も修繕して使っていた。
私が頑張ればお姉ちゃんは自由に生きられる。
それだけが私の頑張れる理由で、それが私の幸せだった。
「それは確かに私の本心で、本当にそれだけを思ってた」
「…綺月」
「でも、本当の本当のことを言うと、お姉ちゃんに帰ってきてほしかった」
必死に耐えてきた涙が一粒こぼれる。
それが引き金となって、ダムが崩壊したように涙が溢れ出て頬を濡らす。
「本音を言えば、ずっとお姉ちゃんに抱き締めて欲しかった」
ずっと押さえ込んでいたものが一気に溢れ出て、崩れるようにその場に座り込んだ。
「ごめん、綺月ごめんね」
お姉ちゃんは私の側に駆け寄ると壊れやすいものに触れる時のように慎重に優しく抱き締めた。
久しぶりに抱き締められたお姉ちゃんの匂いは、別の人みたいに嗅いだことのない匂いに変わっていた。
それでも安心する匂いだった。
私は暫くお姉ちゃんにしがみつき、気が済むまで子供のように泣いた。
お互い素直に本音を打ち明けていたらもっと早く仲直り出来ていたのかもしれない。
かなりの遠回りをしたけれど、その日は確かに私たちにとって人生で一番幸せな瞬間だと思った。
使い古されてボロボロになったその言葉を、何度も修繕して使っていた。
私が頑張ればお姉ちゃんは自由に生きられる。
それだけが私の頑張れる理由で、それが私の幸せだった。
「それは確かに私の本心で、本当にそれだけを思ってた」
「…綺月」
「でも、本当の本当のことを言うと、お姉ちゃんに帰ってきてほしかった」
必死に耐えてきた涙が一粒こぼれる。
それが引き金となって、ダムが崩壊したように涙が溢れ出て頬を濡らす。
「本音を言えば、ずっとお姉ちゃんに抱き締めて欲しかった」
ずっと押さえ込んでいたものが一気に溢れ出て、崩れるようにその場に座り込んだ。
「ごめん、綺月ごめんね」
お姉ちゃんは私の側に駆け寄ると壊れやすいものに触れる時のように慎重に優しく抱き締めた。
久しぶりに抱き締められたお姉ちゃんの匂いは、別の人みたいに嗅いだことのない匂いに変わっていた。
それでも安心する匂いだった。
私は暫くお姉ちゃんにしがみつき、気が済むまで子供のように泣いた。
お互い素直に本音を打ち明けていたらもっと早く仲直り出来ていたのかもしれない。
かなりの遠回りをしたけれど、その日は確かに私たちにとって人生で一番幸せな瞬間だと思った。